25~600mm相当・開放F2.8通しのブリッジカメラ

 2012年に登場の、広角25mmから望遠600mm相当までのF2.8通しのレンズを持つFZ200に、4K動画の対応など最新スペックで磨きをかけた後継機種がFZ300だ。加えて、望遠端が400mm相当ながら1型センサーのFZ1000の兄弟機ともいえる。
 このFZ300の撮像素子は、1/2.3型ということもあり、正直なところ画質の面では限界も感じるが、このコンパクトさに加えて防塵・防滴構造のボディーの使い心地は実によい。タッチパネル式の液晶モニターをうまく使っているだけでなく、モニターを隠して閉じた状態で使っても快適なのだ。これはレンズ側部に設けられたダイヤルによるところも大きく、ファインダーをのぞきながらのMF操作も快適なので積極的に使う気になる。4Kフォト機能の中では、シャッターを押した前後の合わせて2秒間60コマの撮影ができる「4Kプリ連射」が面白い。AF機能では、部分拡大と併用で細かい部分をターゲットにできる「ピンポイントAF」が望遠撮影時に具合がよかった。ファンクション設定機能の充実などもあわせ、撮影スタイルやユーザーの好みへの適応力の高さが、このカメラのいちばんの魅力と感じた。

600mm相当にしてAF可能な最短撮影距離で撮影。ピンポイントAFで目の部分にフォーカスを狙った。さすがにピントは浅い。感度をISO800に抑えたこともありシャッター速度は25分の1秒と遅いが、構えやすいボディーと手ブレ補正機構の威力で撮影できた●108mm時(600mm相当)・絞り優先AE(絞りf2.8・25分の1秒・+0.3補正)・ISO800・AWB・JPEG
600mm相当にしてAF可能な最短撮影距離で撮影。ピンポイントAFで目の部分にフォーカスを狙った。さすがにピントは浅い。感度をISO800に抑えたこともありシャッター速度は25分の1秒と遅いが、構えやすいボディーと手ブレ補正機構の威力で撮影できた●108mm時(600mm相当)・絞り優先AE(絞りf2.8・25分の1秒・+0.3補正)・ISO800・AWB・JPEG

デザイン
エッジの利いた面の演出効果なのか、レンズ部の大きさを意識させずシャープで引き締まった印象のデザインに仕上がっており、従来のFZシリーズの基本デザインを踏襲しながらも、今までにないカッコよさがある

使用感・操作感
タッチ式の液晶モニターを存分に生かした操作系でありつつ、モニターを伏せて閉じたスタイルで使っても不便さを感じない。ファインダーは144万ドット で実用には困らないが、FZ1000の236万ドット に劣るのは残念

描写性
感度ISO200以下で使うぶんには気にならないが、感度を上げての撮影では少々荒っぽい描写になる。ズームは、50~300mm相当の中間部は絞り開放からなかなかよい感じで、広角端も悪くない。望遠端は少し柔らかい印象だが、テレマクロ的に花など撮る場合にはこれも悪くはない

◆ まつうらやすし


*  *  *
●レンズ:4.5~108mm(35mm判換算25~600mm)F2.8。11群14枚(非球面レンズ9面5枚)。LEICA DC VARIO-ELMARIT。最短撮影距離:ワイド端0.3m、テレ端2.0m(マクロ時:ワイド端0.01m、テレ端1m)●撮像素子:有効1210万画素。1/2.3型高感度MOSセンサー。総画素数:1280万画素●ファインダー:有機EL0.39型、約144万ドット。視度調整:-4~+4dpt。倍率:約3.88倍(35mm判換算:約0.7倍)●モニター:3.0型、約104万ドット。静電容量方式タッチパネル●撮像感度:オート、ISO100~6400●無線通信:IEEE802.11b/g/n●記録媒体:SDメモリーカード(SDHC/SDXC、UHS-I U3まで対応)●大きさ・重さ:約131.6×91.5×117.1mm・約691g(バッテリーとメモリーカードを含む)●価格:オープン(実売8万1660円)