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 春といえば入社式だが、実は、転職を考える人たちが活動を始めるべきタイミングでもある。

 多くの企業が4月に新年度を迎える日本では、年度初めの4月と下半期がスタートする10月をめがけて、その直前の3カ月に企業の中途採用が活発化する。一方、パーソルキャリアが行った「転職に関するアンケート」(2019年3月)によると、転職した人の「平均転職活動期間」は、転職先が決まってから退職した人の場合で5.6カ月、転職先が決まる前に退職した人の場合で4.9カ月。いずれの場合も、半年近くを転職活動に費やしていることになる。

 つまり、下半期を転職先で迎えたいという場合、まさに「今」が転職活動の始めどきだ、ということだ。

 転職や退職を考える人たちが「今」知っておくべきことを『今さら聞けない 転職・退職の超基本』を引用しつつ、まとめておきたい。この本を監修したのは、企業と退職者(アルムナイ)の良好な関係を構築することで、中途採用の新たな選択肢を提供するベンチャー企業「ハッカズーク」だ。

 まずは、「企業が中途採用者に求めること」から。

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 厚生労働省の「転職者実態調査」によると、企業の中途採用者の採用理由は「離職者の補充」のほか、「経験を生かし即戦力になる」「専門知識・能力がある」が上位を占めている。「職場への適応力がある」ことも一定の理由として挙げられている。つまり、重視されているのは「スキル」「経験」「適応性」だということだ。

 もちろん、採用対象が違えば採用基準も変わってくる。役員や幹部候補など経営にかかわる人材の採用では「実績」が基本。20代の中途採用者については、「社会人経験は求めたいが、業界・職種の経験は問わない」と回答した企業が半分以上を占めるという調査結果もあり、本人のポテンシャルが重視される場合も多い。

 一方、面接担当者の多くが、「自社でともに働いてほしい」と判断する際に重要であると考えているのは、次の3つのポイントだ。

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書類ではわからないこと