舞台「祭 GALA」から、「演舞」で3人揃ってのハンモックフライング。ハンモックからハンモックへと飛び移る大技に挑む深澤辰哉を、岩本照がアシストする(撮影/品田裕美)

 Snow Manから岩本照・深澤辰哉・宮舘涼太の3人が主演・演出で、この春、新たに挑む舞台「祭 GALA」が4月1日に幕を開けた。演目にとどまらず、衣裳、振付、音楽、舞台装置すべてに「和と洋の融合」という言葉がこのうえなくふさわしい、個性と肉体を極限まで駆使して魅せる、値千金の“祭”だ。AERA2024年4月22日号より。

【写真】岩本照が信長、深澤辰哉が秀吉、宮舘涼太が家康の「三武将」の様子はこちら

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 春が来た。舞台に桜の花びらこそ降らなかったものの、そう感じさせる100分だった。

 激しく鳴り響く太鼓に、三味線に鈴、笛の音が重なっていく。舞台には白い鳥居とともに、黄・紫・赤のメンバーカラーの鬘と面、袴を身にまとった3人が箱階段の上に姿を現し、面を外して会場を睥睨する。圧倒的な和の世界観がその場を包むなか、「Ha ha,it's a great GALA」と岩本照が告げると、英語詞まじりのラップ調のオープニング曲で、舞台「祭 GALA」がトップスピードで走り出した。

 昨年、惜しまれつつも幕を引いた、新橋演舞場の春の風物詩「滝沢歌舞伎 ZERO」。座長を務めてきたSnow Manから岩本照・深澤辰哉・宮舘涼太の3人が挑戦する新たな舞台は、「和と洋が融合した全く新たなエンターテインメント」の触れ込みで、主演のみならず演出も務めるとあって大きな注目が集まっていた。

戦国をモチーフとした「三武将」では、岩本照が信長、深澤辰哉が秀吉、宮舘涼太が家康として、滝沢歌舞伎で培った立ち廻りで、舞台狭しと暴れまわった。岩本が信長さながらの表情で宮舘家康を斬る。舞台「祭 GALA」から(撮影/品田裕美)

和洋の文化が溶け合う

 オープニングに続く「Dancing Floor」では、一瞬で白いジャケットパンツ姿となった3人が、2メートル超の斜面を華麗に滑り下り、キレキレに踊った。かと思えば、「祭」前半では、拍子木や掛け声に合わせ、歌舞伎の動きや舞を披露する。だが、和と洋の組み合わせは演目構成にとどまらない。

 戦国を題材にした「三武将」では、スクリーンに日本語で物語が紡がれると同時に英語でナレーションが流れ、岩本が信長、深澤が秀吉、宮舘が家康に扮し、日本刀を手に殺陣と立ち廻りで目を奪う。

一方「演舞」では唐傘の下で和太鼓が打ち鳴らされるなか、デニムを基調とした衣裳で扇を手に舞い踊り、バク宙などのアクロバットやフライングで肉体を酷使し、圧倒した。

 ひとつの演目のなかでも楽曲に和洋の音が共存し、洋の装いと和の舞台装置が入り乱れ、ときにインドや中国の要素も混じる。文化が見事に溶け合う様に、深澤が会見で幾度も「いずれは海外も」と口にしたのも頷ける。

「お化け屋敷」前半は、深澤辰哉がトークだけで9分聴かせる真骨頂。宮舘涼太を古井戸に落とそうといい笑顔の深澤。後半は、深澤の矢に対し、岩本照には斧、宮舘には刀が突き刺さった幽霊姿で登場したのち、岩本らしさ満点の振付が楽しい群舞を披露。舞台「祭 GALA」から(撮影/伏見美雪)

 また、鍛えた筋肉を見せつける岩本に、トークで9分間舞台をまわす深澤、歌舞伎で培った身のこなしが光る宮舘と、得手とするところを存分に引き出す演目と演出も見事なら、振付や衣裳にも、それぞれ担当した岩本と宮舘らしい“癖”が満載。息もつかせぬひとときだった。

 終演後、名残惜しげに演舞場を後にする人々の顔は、3人がこの作品とタイトルに込めたと語った願いのとおり、歓びと笑みに満ちていた。

春宵一刻値千金。そんな言葉が浮かんだ。(編集部/伏見美雪)

「AERA」4月22日号には、本記事の写真とは異なる、この公演の写真25点を掲載している。

AERA 2024年4月22日号