砂連尾理さん(右)と砂連尾瞳さん(撮影/写真映像部・上田泰世)

 AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2024年4月8日号では、振付家でダンサーの砂連尾理さんと郵便配達員の砂連尾瞳さん夫婦について取り上げました。

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夫41歳、妻28歳で結婚、2人暮らし。

【出会いは?】ダンスワークショップの講師と生徒。夫のダンスカンパニーの小道具をつくるスタッフとして妻が関わる。

【結婚までの道のりは?】舞台の打ち合わせを一対一でしていた時、夫の脳裏にふとおばあさんになった妻の姿が浮かぶ。その直感に従い、交際もしていなかったが、結婚しましょうとその場で夫が伝える。制作の疲れでおかしくなったのかと最初妻は聞き流したが、翌日、承諾の返事をする。1年後に結婚。

【家事や家計の分担は?】料理や掃除は妻、洗い物や洗濯干しは夫。家計は一緒。

夫 砂連尾理[59]振付家・ダンサー/立教大学教授

じゃれお・おさむ◆1965年、大阪市生まれ。同志社大学卒業後、ニューヨークでダンスを学ぶ。2009年から特別養護老人ホームでワークショップを行い、活動をまとめた著書『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉』(晶文社)を出版。国内外で活動を展開。18年から大学で後進の指導を行う

 僕たち夫婦のあり方は直感でしかない。それで暮らしていけています。結婚1年後にかなり収入が減った時期も、彼女は全く動揺しなかった。

 好きなことをやってほしい、でも働いてもらわないと困ります、と。このまま好きな道を信じるままに進んでいけばいいと思えました。

 生活をともにする中で、彼女が醸し出す空気によって、僕の中の潜在的な力を引き出してくれていると感じます。

 いろんなアイデアを運んできてくれるのですが、彼女はまた飽き性で(笑)、一緒に始めたヨガも鍼灸もその後僕だけがずっと続けています。僕からすると、ここ掘れワンワンのように必要なものを全部持ってきてくれる感覚。生きていくのにすごく力を与えてくれる人です。

 彼女にも身体を通して人や世界と関わっていこうとする姿勢があるので、そこに僕はほっとします。表面的な言葉はずれても、根本で息が合う。

 そうして結婚生活が18年続いているので、最初の直感に従ってよかったと思います。

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