AGCは2月に配当方針を従来の配当性向40%からDOE3%程度に見直した。三陽商会は25年2月期にDOE4%をめざしている。新NISAを意識して、長期保有する株主を増やす目的でDOEを使う企業は増えているという。

 また田島さんは、足元の株価を判断するうえで参考にされることの多い投資指標についても、数字を見る上ではコツがあるという。

「あと一息」

「一般的に、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)は数値が低いほど、現在の株価は割安だと判断されます。しかし、ただ低いだけじゃダメ。低すぎるということは、どんなに頑張っても業績や市場の評価を引き上げる余地がないというケースもあるためです。市場全体の平均値や業界他社、自社の目標値などと比べて、少しだけ低い、『あと一息』とでも言える銘柄がちょうどいい。あと一息、あとちょっとの頑張りしだいで株価の水準が引き上げられる可能性があるからです」

 年度が切り替わると、株式市場が企業を見る目も、より先を見すえたものになる。新年度に向け気持ちを新たに自分に合った株を探してみよう。投資はくれぐれも自己判断で。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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