大宮エリーさんと須山さん(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 大阪で行われている大相撲春場所で、前頭17枚目の尊富士が偉業に王手をかけた。23日の取組で勝てば、新入幕として110年ぶりの優勝となる。相手は大関経験者の前頭筆頭・朝乃山。大一番を前に、「AERA dot.」で2023年11月13日に配信した記事を再配信する。(本文中の年齢、情報等は当時)

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 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。18人目のゲストは力士の須山さんです。

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大宮:東大出て、お相撲さんになったんですよね。今おいくつですか。

須山:26歳です。

大宮:めちゃくちゃ若いですね。

須山:いや、相撲界だと、もう若くないですけどね。15、16歳で入ってくる世界なんで。

大宮:何歳で入られたんですか。

須山:去年、24歳のときに入りました。実は、最初の年は大学に通いながら、相撲やってたんです。

大宮:えー!

須山:まあ単位はほとんど取ってて、あと卒論書くだけだったので、なんとかなったんですけど。この部屋からチャリで大学に通ってました。

大宮:すごい! 東大には相撲部ってある?

須山:あるっすね。僕も相撲は大学から始めたんです。

大宮:えー! 相撲部に入ったのは、どうしてなんですか。

須山:格闘技をしたいと思ってたんですよね。ボクシングとかも考えましたけど、コンタクトのある競技をやりたくて。で、最初に相撲部に行ったら、楽しかったんで始めました。

大宮:文武両道はできたんですか。

須山:両道……できてないんじゃないですかね。留年1回してますし。

大宮:授業はあまり?

須山:いや、出たり、出なかったりですかね。それはでも部活のせいとかじゃないです。部活は週3回なんで。ただ怠惰なだけで(笑)。

大宮:週3回って少ないですよね。

須山:少ないですね。他の部活とかだと練習が週6、7回あって練習時間も長かったので。最初の頃は、大学時代、何か楽しくできたらいいな、という気持ちで相撲を始めました。

大宮:大会にも出てたんですか。

須山:出てましたね。でも、3、4年のときはコロナ禍で大会がなくなっちゃって。国公立大の相撲部の学生は僕みたいにほとんどが未経験で入部しているので、全国国公立大学対抗相撲大会での優勝をモチベーションにしているんですけど、それがなくなっちゃいました。

大宮:コロナはねぇ。そうなりますよねぇ。

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