1991年7月の東京証券取引所(写真:Haruyoshi Yamaguchi/アフロ)

 実質賃金が低下していて、個人としての生活水準はずっと悪くなっているという今の経済状況の一番の元凶は、財務省だと思っています。消費税を含めて手取りを見ると、1988年よりも今の方が少ないんですよ。手取りは名目ベースでも減っているんです。

 庶民の暮らしがよくなっていない最大の原因は、財務省が増税と社会保険料のアップをやってきたから。逆に言うと、消費税を撤廃したりすれば庶民の暮らしはよくなるんです。

康平:緊縮的な政策はもちろん、それ以外で言うと、バブル崩壊以降の処理をミスったこと。景気がいい時は銀行が用もないのにお金を貸し付けてきたのに、バブルが崩壊して一番お金が必要になると、逆に貸しはがしをしたわけですよね。そうすると、銀行には頼るべきではないという考えになるんですよ。

 平時では人件費を抑えて利益をいっぱい出して、それを何かあった時のための資金にしようとするわけですよね。ただ、バブル崩壊みたいなことって、そんなに頻繁に起こるわけじゃない。なのに、もしものためにといって毎年人件費を上げないで利益を繰り越して内部留保を増やして備えるということをずっとやってきたわけですよね。

 そうすると何も生み出さないお金が貯まっていくので、外国の投資家からすると非常に非効率な経営をしていると映るわけです。貯めているお金を投資に回せ、もっと効率的に金を使えと。そのようなお金の使い方ができないんだったら、お前らは経営陣から外すぞと圧力をかけられるので、すいませんでしたということで配当を出す。それで本来人件費に回っていてよかったはずのものが、配当という形で株主に出ていってしまっている。そういう問題点はあると思います。

 それは今も続いていて、例えば法人企業統計を見てみると、1人当たりの給料も1人当たりの役員報酬もほとんど横ばいなのに、配当だけはおかしなぐらい右肩上がりで上がり続けている。本来だったらもうちょっと労働者がもらえているであろう人件費が、配当に回されちゃっている。それが今の格差社会を生み出している元凶。そこはたぶん親父と同じだと思うけど。

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