厚生労働省が2022年2月に発表した「医療従事者の需給に関する検討会」取りまとめでは、全国レベルで医師は毎年3500~4千人ほど増加しているものの、29年ごろには需給が均衡し「将来的には医師需要が減少局面になるため、医師の増加のペースについては見直しが必要」との見解が示されている。灘高校から東大医学部を経て、現在、地方の病院で研修医として働く小坂真琴さん(25)は言う。

「臨床医のキャリアは医師免許を取った後、横並びでスタートしますので、正直学歴はあまり関係がありません。国民皆保険制度が自分たちの定年まで維持されるかわからないですし、地方のクリニック経営は大変で、今から新規開業は厳しいという話も先輩医師からよく聞きます。かつてのように『医師資格さえあれば安泰』とは言いづらい状況があり、今の理3生にもそのような認識が共有されているのではないでしょうか」

 たとえ東大であっても、医学部に受かれば「人生上がり」とは言い難い状況が生まれている。卒業後のキャリアも見据えた上での学部選びが、今後はさらに重要になってくると言えそうだ。

※週刊朝日オリジナル記事

(本誌・松岡瑛理)