田巻小百合さん(右)と田巻雄太郎さん(撮影/写真映像部・上田泰世)

夫 田巻雄太郎[51]京呉服の店 田巻屋 代表取締役

たまき・ゆうたろう◆1972年、東京都江東区生まれ。新卒でダイヤモンドシライシ(現・ニューアートホールディングス)入社。29歳で取締役就任、43歳で退き、昨年百周年を迎えた家業の田巻屋に入る。業務全般をこなしつつ多くの地域活動にも携わる

 前職は日本全国を飛び回り、何百人ものスタッフから相談を受ける立場。家業を継ぐのは嫌だったけれど、祖父が作ったこの店は潰せないし、ずっと向き合えなかった長男への申し訳なさもあり、8年前に田巻屋に入りました。

 正直また結婚する気はなかったんです。でも彼女が着物にも関心を持ち、長男がいることも受け入れ、結婚が決まったときにはありがたいなと。当初、家業は一人でやるつもりでしたが、もともと同じ職場だった彼女とは、相談しながらそれぞれの得意分野を分担できる。夫婦としてもビジネスでも、パートナーとして頼りにしています。

 着物って自由なものだと思うので、形はどうあれ着物というベースを残していくことが百年店をやってきた我々の使命。うちの看板「デニム着物」はそんな発想の一環です。

 僕が次々新しいことをもってくるので彼女は一息つける時間がないんじゃないかな。刺激はあると思うけど、大変な夫、仕事と思います。公私ともにホント感謝だけです。

(構成・大塚玲子)

AERA 2024年3月18日号