R-指定(右)とDJ 松永(左)のヒップホップユニットCreepy Nuts(C)朝日新聞社
R-指定(右)とDJ 松永(左)のヒップホップユニットCreepy Nuts(C)朝日新聞社

 8日放送の「ミュージックステーション」(テレビ朝日・金曜午後9時)にCreepy Nutsが出演する。Creepy Nutsが披露するのは、ストリーミング累計1億回再生を突破した話題曲『Bling-Bang-Bang-Born』。どんな盛り上がるパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだ。そんなCreepy Nutsの過去の記事を振り返る。(「AERA dot.」2021年2月7日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

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 Creepy Nutsの2人をテレビで見かける機会が増えてきた。EXITとのレギュラー番組『イグナッツ!!』(テレビ朝日)をはじめとして、数多くのバラエティ番組に出演している。

 Creepy Nutsとは、R-指定とDJ 松永の2人から成るヒップホップユニットである。ラッパーのR-指定は日本最高峰のMCバトル『UMB GRAND CHAMPIONSHIP』で3年連続の優勝を果たしている。一方のDJ 松永はイギリス・ロンドンで行われた世界最大規模のDJ大会『DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019』で優勝した。2人ともヒップホップミュージシャンとしては文句なしの実績を残している。

 しかし、バラエティ番組に出ているときの彼らは、人懐っこい笑顔を浮かべるフレッシュな若手タレントである。その飾らない自然体のたたずまいは、今どきのタレントには珍しい。

 昔から、ミュージシャンでありながらテレビタレントとしても活躍する人はいた。バラエティ番組で重宝されるミュージシャンの条件は「キャラが強い」「トークが面白い」のどちらかの要素を持っていることだ。例えば、GACKTはどちらかと言うと前者、西川貴教は後者の要素を持っている。デーモン閣下のように両方の要素を持っている人もまれにいる。

 だが、Creepy Nutsの2人はこの条件にあまり当てはまっていないように見える。見た目がそれほど目立つわけではないし、ラジオ番組を持っていてトークに慣れているとはいえ、並外れた話術があるわけでもない。ただ、目立ちたがり屋でもなくテレビ慣れもしていないその純朴さが、一周回って新鮮に見えている。

 彼らはヒップホップミュージシャンでありながら、荒々しいイメージがなく、親しみやすいところがある。本人たちも、何も特別なことがない一般家庭で育った自身の生い立ちにコンプレックスを感じているところもあるようだ。特に、DJ 松永は「童貞感」を売りにしていて、バラエティ番組でもこじらせた本音を赤裸々に語ることが多い。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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