※写真はイメージです(Getty Images)

 日本より稼げる海外に目を向け、出稼ぎする性風俗業の日本人女性たち。高収入にひかれて海を渡っても、実際には命に係わるようなリスクを負うこともある。海外にセックスワークに行った日本人女性が、現地でトラブルに巻き込まれるケースも少なくないという。朝日新書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(著:松岡かすみ)から一部を抜粋、再編集して紹介する。
 本書では、違法である性風俗業での海外出稼ぎの実体験のみならず、出稼ぎがはらむリスクやそこに至る社会的要因などを多方面から取材。個人の責任如何でなく、現代日本社会全体で考えるべき問題を提起している。

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仕事内容とリスク

 出稼ぎに行くメリットとしてよく謳われるのは、(1)日本より稼げる、(2)過度なサービスをしなくても良い、(3)日本人という需要が高い、(4)身バレのリスクが低いという点だ。だがどのポイントも、国や女性、働く店や客などによって左右される部分が大きく、いずれも蓋を開けてみると全く違ったということも十分にありうる。

 取材した女性たちの多くは、「海外で稼げた」という成功体験を持った人たちだ。だからこそ、取材に応じてくれた部分も大きいかもしれない。

 だが海外出稼ぎは、稼げる例ばかりとは限らず、命に関わる危険を伴う可能性も十二分にある。自身も風俗業界で働いた経験を持ち、性風俗業で働く人々を支援する当事者団体「SWASH」メンバーの要友紀子さんも、「これまでは海外から日本に出稼ぎに来る女性たちの相談が多かったのが、最近は海外にセックスワークに行った日本人が、現地でトラブルに巻き込まれるなどして相談がくるようになった」と話す。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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性風俗の仕事がポジティブなものに