放射線治療は、がんの3大療法の一つ。この約20年で急速に進歩し、がんの「根治」のための有力な治療手段になった。そこで週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2024』では、全国の病院に対して独自に調査をおこなった。病院から得た回答結果をもとに、手術数・治療数の多い病院をランキングにして掲載している。本記事では婦人科がんのひとつ「子宮頸(けい)がん」の放射線治療の解説とともに、婦人科がんに対する放射線治療患者数が多い病院を紹介する。

【病院ランキング】婦人科がんの放射線治療患者数が多い全国トップ15病院

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 婦人科がんでは主に子宮頸がんに放射線治療がおこなわれる。子宮頸がんの8割は扁平上皮がんというタイプで放射線が効きやすく、Ⅰ期から手術が困難なⅣA期(遠隔転移はないものの膀胱や直腸に浸潤した局所進行がん)まで根治目的の治療が可能だ。東北大学病院の神宮啓一は言う。

 「ⅠB期とⅡA期の標準治療は手術または放射線治療で、治療成績はほとんど変わりません。ⅡB期以降は手術ではがんをとり切れないことも多いので、抗がん剤を併用する『化学放射線療法』が推奨されています」

 子宮頸がんの放射線治療は、骨盤部への「外部照射」と子宮・腟に器具を挿入しておこなう「腔内(くうない)照射」がセットだ。外部照射ではがんだけでなく、転移している可能性のある周囲のリンパ節も含めて広く放射線をあてる。腔内照射前にがんを小さくしておく狙いもあるという。一方、腔内照射では、腟から子宮腔内へ挿入したアプリケーター(棒状の器具)伝いにがんのすぐ近くから原発巣に高線量を集中させる。

少ない腔内照射実施病院。希望者は担当医に相談を

 「それぞれの強みを生かし、漏らさずがんをたたくことができ、高い効果が期待できます。5年生存率はⅢ期やⅣA期でも5割を超えています」(神宮医師)

 放射線治療は手術よりもからだへの負担が軽く、手術で生じることが多い排尿障害や排便障害も避けることができる。治療後に直腸や膀胱から一時的に出血することがあるが、症状は軽いことがほとんどだ。

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