※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 放射線治療はこの約20年で急速に進歩し、がんの「根治」のための有力な治療手段の一つになった。そこで週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2024』では、全国の病院に対して独自に調査をおこなった。病院から得た回答結果をもとに、手術数・治療数の多い病院をランキングにして掲載している。本記事では「がん放射線治療」の総論とともに、高精度照射の「強度変調放射線治療(IMRT)」「体幹部定位放射線治療(SBRT)」の治療患者数が多い病院を紹介する。

【病院ランキング】がん放射線治療 IMRT患者数が多い全国トップ20病院

*  *  *

根治目的や症状緩和など、幅広い場面で活用が可能

 放射線治療はがん医療に欠かせない3大治療の一つだ。手術同様、固形がんの病巣に働きかける局所的な治療だが、がんを取り去るのではなく、がんに高エネルギーの放射線をあててがん細胞の遺伝子に傷をつけ、死滅させる。千葉大学病院の宇野隆医師はこう話す。

 「放射線治療は、単独でがんを治す目的で使われるほか、術後に照射して再発を防ぐなど根治のための補助的な治療にもなります。さらに痛みをやわらげるなど緩和的な治療においても欠かせないものになっています。がん医療のさまざまな場面で使えることが、放射線治療の特徴の一つと言えるでしょう」

 放射線は切らずに治療できるため、からだへの負担が軽く、治療による痛みもない。高齢や持病で手術を諦めなければならない人も、放射線治療なら受けられることが多い。

 声を残して声帯がんを治療したり、子宮を残して子宮頸がんを治癒に導くなど、臓器の形や機能を温存できることも大きな強みだ。

 「放射線治療は手術ほどの効果は得られないと考えられがちです。しかし現在は、がんができた臓器やステージによっては手術に匹敵する効果を上げ、根治のための有力な治療手段に位置づけられるようになっています。がんが局所で広がっているとか、血管が近接しているなど手術が難しい場合に、放射線を使って根治目的の治療ができることもあります」(宇野医師)

 放射線治療の照射方法は、からだの外から放射線をあてる「外部照射」と、からだの内側に小型の線源を入れてがんの病巣近くから直接放射線をあてる「内部照射」に大きく分けられる。さまざまな部位のがんに適用され、数多くおこなわれているのは、外部照射だ。

次のページ
「外部照射」と「内部照射」は、具体的にはどう違うのか