大宮エリーさん(右)と伊沢拓司さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 受験シーズンが佳境に入った。過去に話題となった記事を再配信する。(この記事は、2024年1月1日に配信した内容の再配信です。肩書、情報等は当時)

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 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。今回は伊沢拓司さんがクイズで起業した話や現在の事業について伺いました。

大宮:大学院に行ったんですよね。

伊沢:はい。農学部の大学院に。でも中退しました。研究もうまくいかないタイミングだったし、たまたまレギュラーでクイズ番組に出させていただいていて、学部生の頃に始めたクイズの事業のほうでいこうと。

大宮:その、「QuizKnock」って、どういうサービスを提供してるんですか?

伊沢:大学4年生で始めたんですけど、最初は時事ニュースをクイズでお届けするウェブメディアをやったんですね。それが全然うまくいかなくて。

大宮:え? すごく面白そうなのに。

伊沢:最初はめちゃ苦しかったです。僕が編集長やってたんですけど、家の電気とかネットも止まってたんで、家でも作業できないし、マック(マクドナルド)で100円のコーヒーで粘りながら長時間作業して、という生活でしたね。

大宮:PV(ページビュー)が伸びるまでは。

伊沢:東大の情報リテラシーの高い子たちにバイトをお願いしていたので結構給料もかさんで。もうどうすんだ、となったときにYouTubeを始めたらたまたま伸びて。

大宮:へぇ。それは自分が出て?

伊沢:はい。クイズを使った動画なんですけど、「きょうは4千択のクイズです」みたいな、ぶっ飛ばしたようなやつが伸びたんで。

大宮:なるほどね。それはもう時事問題関係なく?

伊沢:はい。エンタメに振り切って。そしたらウェブメディアも伸びてきて、収益が伸びてきたら真面目なテーマにもチャレンジできて。楽しんでいるうちに学びのハードルが下がる、というか。今は学校での講演とかアプリとかで教育支援をしてます。

大宮:それはどういうやつ?

伊沢:英単語や漢字などの知力を鍛えるクイズゲームアプリとか。暗記アプリみたいなやつも開発中です。

大宮:じゃあ、勉強に使えるんだ。

伊沢:そうです、そうです。それから、いま頑張っているのは企業や行政とコラボしてワークショップをやったり。「未来のエネルギーミックスを考えよう」とか。

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