いまは踏ん張り自分の持ち場で最善を尽くそう(イラスト:サヲリブラウン)

 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 令和6年能登半島地震により亡くなられたみなさまに謹んでお悔やみ申し上げます。また、被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 1月6日発売号に掲載の原稿は、年末に校了していました。期せずして「2024年も楽観的ではいられません」と記しましたが、まさか元日に大災害が起きるなんて。こんな仕打ちはあんまりだと、私は天を仰ぎました。

 翌日には羽田空港での大事故。日航機の乗客・乗員が全員脱出できたことに胸を撫でおろすと同時に、海保機に搭乗し命を落とした5名の海上保安庁職員のみなさまのことを考えると、無念でなりません。全身挫滅という死因を初めて知りました。最も若かったのが27歳の通信士と聞き、胸がつぶれるような思いです。

 災害と大事故。どちらも当事者ではない私が落ち込んでいる場合ではないことは承知しています。それでも、被害状況を伝えるニュースを目にし、亡くなった方々やご家族のことを考えると、へこたれそうになる。勝手に落ち込んでいる自分は厚かましいのではと、気が滅入ることもある。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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