「SPY×FAMILY」とコラボした大型客船「さるびあ丸」でキーワードラリーを楽しむファンたち(撮影/山本倫子)

 累計3400万部を突破した漫画「SPY×FAMILY」。子どもからシニアまで幅広い世代を魅了しているが、なぜなのか。人気の秘密を探った。AERA 2023年12月25日号より。

【写真】「SPY×FAMILY」の世界が広がる開催中の「わくわくパーク」がこちら(全8枚)

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「SPY×FAMILY」とコラボした大型客船「さるびあ丸」でキーワードラリーを楽しむファンたち。アーニャのコスプレをした女の子の姿も(撮影/山本倫子)

 ピンクのぬいぐるみを持った女性が船に乗り込んでいく。

「アニメ1期を見て、大好きになりました」

 そう話すのは、埼玉県に住む女性(28)だ。この日、女性はテレビアニメ「SPY×FAMILY」が東海汽船とコラボした東京湾夜景クルーズに乗船し、船内にちりばめられたキャラクターとの撮影やキーワードラリーを満喫。持っていたのは、同作のヒロイン、アーニャが大切にするぬいぐるみの「キメラさん」だ。

「キャラクターがいいし、何よりアーニャがかわいい。アニメにハマったことがなかったので周りの人はびっくりしています」

 とはにかむ。ひとりで参加する人もいれば、友人や恋人同士で訪れる人も。小さな子どもを連れた家族連れの姿も目立った。

自分の家族と似ている

 アーニャのコスプレをした6歳の娘と、妻と3人でクルーズに参加した男性(46)は、昨年秋に山手線を走るラッピング電車を見て、作品と出合った。

「物語の内容はまったく知りませんでしたが、ロイド、アーニャ、ヨルさんら3人が描かれた電車を見て、家族構成が自分と同じでおもしろそうだなと気になり始めたんです」

 家に帰り、すぐに家族3人でアニメを視聴。当初はアーニャのかわいさに惹かれたが、コミカルさのなかに描かれた緻密な人間模様に夢中になった。

「もともと家族で出かけることは多かったけど、『SPY×FAMILY』を好きになってから毎週末イベントに行くようになりました。映画もあるし、展示やジャンプフェスタも楽しみ」

 この「展示」は、池袋・サンシャインシティで開催中の「『SPY×FAMILY』わくわくパーク」のこと。アニメの制作資料といった貴重な展示や、アーニャの部屋を再現したエリア、ミニゲームなど文字通り「わくわく」が詰まったイベントだという。

 22日には劇場版公開が予定され、各地で様々なイベントが開催中。連日多くのファンでにぎわいを見せている。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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