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※写真はイメージです(Getty Images)

 移民のルーツをもつ子どもたちが集まる、大阪・ミナミの「Minamiこども教室」。この教室に通う子どもたちの半数ほどが、フィリピンをルーツとしている。ほとんどがフィリピン人の母、日本人の父をもち、シングルマザーの家庭も多い。その背景には「繁華街ミナミ」という土地柄があった。ロンドンの大学院で「移民」について学び、この教室でボランティアをしている朝日新聞記者・玉置太郎氏の新著『移民の子どもの隣に座る 大阪・ミナミの「教室」から』(朝日新聞出版)には、フィリピン人女性が日本に増えた理由と、そこで起こる問題が記されている。一部を抜粋、再編集し、紹介する。

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 法務省の統計をみると、日本に住むフィリピン国籍者は二〇一〇年代、ずっと二十万人台で増え続け、二〇二二年末には約三十万人に達している。国籍別では、中国、ベトナム、韓国に次いで四番目に多い。

 他の国籍グループとの際だった違いが、男女の割合だ。主な国籍グループでは男女の数にそれほど差がないが、フィリピン国籍者は男性が約十万人なのに対して、女性が倍の約二十万人を占める。

 その偏りの大きな要因に、「興行」という名の在留資格がある。

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玉置太郎

玉置太郎

玉置太郎 (たまき・たろう) 1983年、大阪生まれ。2006年に朝日新聞の記者になり、島根、京都での勤務を経て、11年から大阪社会部に所属。日本で暮らす移民との共生をテーマに、取材を続けてきた。17年から2年間休職し、英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で移民と公共政策についての修士課程を修了。

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興行ビザで来日する女性