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 新NISAで人気のインデックス投資信託、過去の成績はどれが一番優秀なのか。選ぶ投資対象により、積み立て結果はここまで変わる。AERA 2023年11月6日号より。

【写真】インデックス投資信託「毎月1万円の積み立て結果」【S&P500VS全世界株式ほか14本比較】

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 2024年から始まる新NISAの、1月分の投資信託積み立て設定が11月中旬からネット証券各社でスタートする。新NISAの「つみたて投資枠」対象はインデックス投資信託がメインだ。では、インデックス投資信託で何を積み立てればいいのか。米国の主要な500社の株式に投資できる「S&P500」か、世界中の約3千社の株式を丸ごと買える「全世界株式」かで、迷う人も多いようだ。

 現行のつみたてNISAではS&P500がダントツ人気だ。特に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の純資産総額は2兆7037億円(10月13日時点)で、日本一の規模を誇る。全世界株式で首位の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は1兆5367億円(同)。こちらも強烈である。

 22年にはS&P500に陰りが見られた。米国の物価高と金利上昇で、この年はドルベースで19%も下落。だが23年の上半期は16%上昇。さすがの切り返しだが、ここ10年は世界最強だった米国株の勢いにかすかな衰えが見えるのも確かだ。

 そのせいか「長期投資の新NISAでは全世界株式にする」という声も目立つ。直近の資金流入に変化はあったか、三菱UFJアセットマネジメントの野尻広明さんに聞いた。

全世界株式優位の月も

「今年5月と6月は、全世界株式が米国株式を上回っていました。6月の1カ月で『全世界株式(オール・カントリー)』の純流入額は611億円。『米国株式(S&P500)』は583億円です。7月以降は米国株の好調を受けてか、S&P500のほうが買われています」

 解約率(売却)はどうか。

「S&P500に比べ、全世界株式は解約率が比較的小さいです。相対的に、全世界株式を積み立て投資の対象にしている方が多いことが予想されます」

 インデックス投資信託は投資先により成績がガラリと変わる。野尻さんにeMAXIS Slimシリーズの利益検証をお願いした。直近20年、毎月1万円を積み立てていたら財布から出したお金は240万円ということになるが、それがどこまで増えていたか。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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