写真はイメージです(Getty Images)

 SNSを通じて子ネコ2匹の里親に名乗り出た男が2匹を虐待し、死傷させるという凄惨(せいさん)な事件が沖縄であった。動物の保護活動家が、子を育ててくれる人を懸命に探すなか、善意を装った男が譲渡を希望し、トライアル(お試し期間)中に残虐な行為をしたという。こうした悲劇を防ぐ手立てはないのか。ペットに関する問題に詳しい専門家に対策などを聞いた。

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「まいどなニュース」や、沖縄の地元メディアなどが報じたところによると、虐待をしたのは沖縄県うるま市に住む20代の男。

 男は地域情報サイトで里親に応募し、昨年2月、子ネコ2匹を一時的に預かったその当日に、殴ったり蹴ったりして1匹を死なせ、もう1匹にケガを負わせた。男は動物愛護法違反などの容疑で5月に書類送検され、沖縄区検から罰金の略式命令を受けたとされている。

譲渡を巡るトラブルは多い

 ペットをめぐる問題に詳しい石井一旭弁護士は、「譲渡制度を悪用する人間はごく少数のはず」と前置きしつつ、ペットの譲渡を巡るトラブルは多いと指摘する。

 保護団体の人などペットを譲った側から、「愛情不足に感じる」だとか、食事が不十分だったり病院に連れて行ってもらえていなかったりなどの理由から「ペットを(相手から)返して欲しい」という相談を受けることは多いという。

 その一方で、譲り受けた後、ちゃんと育てている側から、「(譲渡元が)過干渉で、いい加減にしてほしい」などの相談を受けることもあるそう。

 もらい手は、しっかり育てているのにあれこれと干渉されるのは嫌だろうし、譲り手は幸せに生きてほしいとの思いが強く、不安もあるため、こうしたずれが生じやすい。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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