山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「米国のコロナ最新状況と私たちがすべき対策」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 日本を離れ、アメリカに長期滞在するようになった私の、毎日の日課になったことの一つが、CNNの記事に目を通すことです。英語に慣れるために始めたことではありましたが、世界の流れをつかむことができるので、ジムでサイクリングをする30分を使って目を通すようにしています。

 さて、「CNN health」の記事で、最近よく目にするテーマは、最新の新型コロナウイルスワクチンが米国食品医薬品局(FDA)や疾病管理予防センター(CDC)によって承認されたこと。そして、最新の新型コロナウイルスワクチンを接種するタイミングはいつがいいか、果たしてどこで接種することができるのか、ということです。

 最新の新型コロナワクチンは、アメリカで優勢となっている株であるEG.5や他の新たな変異種に対して効果があるとされており、2023年9月15日に更新されたCDCの最新情報(※1)によると、「新型コロナウイルス感染症による重篤な病気を防ぐために、5 歳以上のすべての人は、最新のファイザー・ビオンテックまたはモデルナの新型コロナウイルス感染症ワクチンを 1 回接種する必要がある」と書かれています。

 では、どうして新たな新型コロナウイルスワクチン接種が必要と考えられているのでしょうか。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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アメリカの感染者数、入院者数が増加