東京都中央区の東京証券取引所。7月からプライム150がスタートした

 新しい株価指数「JPXプライム150」が7月にスタートした。その「実力」や従来の株価指数と異なる魅力、将来性について探った。AERA 2023年9月18日号より。

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 市場の平均的な値動きを示す株価指数と言えば、やはり最も知られているのが日経平均株価だろう。また、同じくニュースなどでもよく報道されるのがTOPIX(東証株価指数)だ。こちらは、原則として東証プライム市場に上場する全社の株価を反映した指数となっている。

 一般的にはあまり知られていないが、実は今年の7月3日から、JPXプライム150という名称の新たな株価指数の算出がスタートした。名称の通り、この新指数は東証プライム市場の中から所定の基準を満たした150社によって構成されている。詳しくは後述するが、その基準が明確であり、日本を代表する企業でも基準を満たしていないものは選から漏れた。トヨタやホンダ、三菱商事、メガバンク3社がその典型例と言える。

透明性を高く

AERA 2023年9月18日号より

 最も著名ではあるものの、日経平均株価に採用されている225社の選定理由が不明瞭だったことは否めない。流動性が高い(売買が活発で株価の推移も相対的に安定している)企業を厳選していると説明されるが、具体的な基準があいまいだ。

 JPXプライム150の場合は、(1)資本収益性、(2)市場の評価という二つの観点から銘柄を評価し、それぞれにおいて明確な判定基準を定めている。(1)ではROE(株主資本利益率)とエクイティ・スプレッド、)(2)ではPBR(株価純資産倍率)という指標に着目し、それらの数値によって客観的で透明性の高い選定を行っているのだ。

 おそらく、専門的な用語の連続で戸惑った読者も少なくないだろう。だが、後述する新NISA(少額投資非課税制度)にも関係する話なので、挫折せずに読み進めていただきたい。ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾さんは、これら二つの判定基準を定めたことを高く評価している。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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