(写真はイメージ/GettyImages)

  「期間限定キャンペーンで今ならお得に買える」と聞くと、購入を即決してしまうのはなぜだろうか? 行動経済学ではこの心理を「損失回避」という。マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所・研究員の橋本之克さんによると「人は得したいという気持ちより、損したくないという気持ちの方が大きい」。橋本さんの著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から、「期間限定キャンペーン」につられて買ってしまう心理の解説を抜粋して紹介する。

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   期間限定キャンペーンに惹かれてしまう原因の一つは、今のチャンスを逃すことを損失ととらえた「損失回避」の心理です。ただし、ここでは「反転効果」の心理も購入を後押ししたと考えられます。

 これは同じ判断でも、追い込まれたネガティブな状況(…すれば失う等)では、一か八かうまく行く方に賭ける高リスクの選択をするという心理です。購入前の時点では、本当に自分にとって価値があるかどうか、自分でもわからないのが普通ですよね。

 その時点で「今決めなければ期間限定キャンペーンのチャンスを逃す」という状況に追い込まれて「購入する」というリスクの高い選択をしたのです。損したくない気持ち(「損失回避」)から購入を決断したわけです。

 さらに、損をしそうなネガティブな状況は、一発逆転を狙ってリスクある判断をする「反転効果」も購入を後押ししたと考えられます。

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「損」の悲しさは「得」のうれしさ2倍以上