写真はイメージです(Getty Images)

 猛暑が続く列島。炎天下であっても、家族や友人たちとのバーベキューやキャンプは楽しく、ついつい酒が進んでしまう人もいる。ただ、怖いのは熱中症のリスクだ。自分は大丈夫だと軽いノリで飲んだ結果、医療機関のお世話になる人が後を絶たない。熱中症に詳しい専門家は「炎天下の飲酒は自殺行為に等しい」と強い言葉で警鐘を鳴らす。

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「これほどの炎天下だと、歩いているだけで熱中症のリスクがあります。さらにお酒を飲むなんて、危険しかありません。どうしても飲むなら、相当な覚悟を持って飲んでください、と言わざるを得ません」

 穏やかな口調ながら強い表現で注意を促すのは、熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師である。

酒を飲むと熱中症になりやすい

 お酒の「基本のき」だが、アルコールは利尿作用があり、なかでもビールはその作用が強いとされる。トイレが近くなるのはそのためだ。また、体内でアルコールを分解するには大量の水が必要になる。

 さらに、アルコール1グラムには約7キロカロリーのエネルギーがある。同じ量の糖質は4キロカロリーで脂肪は9キロカロリーだ。

「利尿作用によって体から水を奪い、分解の過程で水を使います。奪って、使うのです。その上に糖質、脂肪と比較してもアルコールのエネルギー量は高く、体温が上がる。こうした点を見ただけでも、お酒を飲むと熱中症になりやすいことは明らかです」(谷口医師)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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熱中症と急性アルコール中毒は症状が似ている