武田真一さん(撮影/上田泰世・写真映像部)

 NHKの報道の顔からフリーへと転身し、現在は日本テレビ系の情報番組「DayDay.」のMCを務めるアナウンサーの武田真一さんは、2人の息子の父親だ。「なめるように可愛がること」を大切にして、これまで積極的に育児にかかわってきたという。子どもたちにたくさんの愛情を注ぎ、成長を見守ってきた武田さんだったが、やがてそれぞれの「道」を選択するときが訪れた……。

【写真】PTAのお祭り準備をする武田アナ

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 武田さんの長男は現在、出版社に勤めており、次男は大学生だ。

 長男が生まれる際、「父親とは何か」と考えた。子育ての本などを手に取りながら決めたのは、自分は常に威厳ある父親ではなく、ときには母や兄弟姉妹のような、あらゆる役割で接することで愛していこうということだった。

 そして仕事をしながら可能な限りの時間、子どもたちに寄り添ってきたという武田さんは、子どもができた後輩にはこんなアドバイスをするという。

「なめるように可愛がったほうがいいよ」と。

 優しさも厳しさも、全てをもって存分に愛する。それは親だからこそできることだと。

 子どもが小さいころはお風呂に入れた。学校の授業参観はもちろん、保護者が行う読み聞かせの時間にもよく出向いた。週末は野球チームのコーチをし、父親が集まる「おやじの会」の会長としてバザーや田植え体験などを企画した。PTAのバドミントン部では大会で入賞し、学校の朝礼で子どもたちにまじって表彰されたこともあった。

「これ以上のことはできないと思えるほど、やれることは精いっぱいやってきたつもりです」

 武田さんはそう言い切る。

学校行事にも積極的に参加。長男のPTAのお祭り準備で滑り台を作り、試しに滑る武田さん(本人提供)
「言葉」に関心を持ってほしいと、次男が小学1年生の時に取り組んだ日記帳。武田さんも感想を書き込むことで、いつしか親子の交換日記に(撮影/写真映像部)

「成長」に気をもむ

 長男が幼稚園生のころ、寝る前に読み聞かせをしていた。

「ニュース原稿ばかり読んでいて、ナレーションや朗読に飢えていたので、その練習も兼ねて(笑)。役に入り込んで声色をつくると、本気でこわがったり笑ったりするのが可愛かったですね」

 字に関心を持ち、『ハリー・ポッター』シリーズや『数の悪魔』が大好きだった長男は、わからない言葉がありながらも、いつの間にか『ハリー・ポッター』を一人で読めるようになっていた。

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いざ直面すると、苦しかった