一時自分を発達障害と誤解していてギフテッドの立花奈央子さん(40)
一時自分を発達障害と誤解していてギフテッドの立花奈央子さん(40)

 高いIQや突出した才能を持つ一方で、周囲とのなじめなさや複雑な悩みを抱えていることも多い「ギフテッド」。授業中に立ち歩いたり、集中しなかったりする挙動から、発達障害と混同されることも多いといわれている。ギフテッドと発達障害の違いはどこにあるのか、【前編】に続き発達心理学や教育心理学が専門である上越教育大学の角谷詩織教授にその判断のポイントを聞いた。<阿部朋美・伊藤和行著『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)より一部抜粋・再編集>

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<【前編】4歳で進化論、8歳で相対性理論…なぜ「ギフテッド」は学校に馴染めない? 発達心理学者が解説>から続く

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■「ギフテッド=天才」ではない

ギフテッドの子どもが興味のあるものを目の前にした時の例えを角谷教授がしてくれた。「空腹で倒れそうな時に、目の前にクッキーが現れて、それをむさぼるようなもの」なのだという。私は、それほど強烈な好奇心が生まれたことはなかったが、自分ではコントロールが容易ではないほどの感情なんだと想像した。

 同時に、ギフテッド=天才といった誤ったイメージを指摘した。

「小学校に入る前に外国語が話せるようになる、相対性理論を完全に理解する、など超人的な才能を見せる子どもがギフテッドだと誤解されているように感じます」

 メディアで取り上げられるのも、若くして英語や数学の検定に合格した子どもや飛び級で大学に入学した子どもなどで、華やかで実年齢と大きく乖離(かいり)した結果を残した子どもがフォーカスされやすい。珍しいがゆえに、ニュースとして取り上げられてしまうのだ。私自身も、当初ギフテッドに抱いた印象はそうした「超人」だった。

 このような情報を見聞きするうちに、「ギフテッド=人並み外れた超人的な才能を持った天才」といったイメージが先行しているのかもしれない。しかし、そうした超人的な才能があるのはギフテッドの中でもごく一部で、極めてまれな存在なのだという。

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超天才がギフテッドだという誤解