日経平均株価はバブル後最高値を繰り返し更新
日経平均株価はバブル後最高値を繰り返し更新

 日経平均株価は5月以降、急速に水準を切り上げ、バブル崩壊後の高値圏にある。この上げ相場に乗り遅れた投資家も少なくないのではないか。でも、諦めるのはまだ早い。業績の改善や成長が期待されるのに、投資家の目が十分に向けられていない銘柄もある。そんな出遅れ銘柄を専門家に挙げてもらった。

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 東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、足元の株価上昇を受けて、想定する日経平均株価の目標水準を3万4千円に引き上げた。同水準に到達するのは今年半ば、つまり今後1~2カ月でこの水準に届くと予想する。

「株価はこれまで、今年後半に国内景気がよくなることを織り込みながら上昇してきたと考えています。著名投資家のウオーレン・バフェット氏が総合商社株を買い増ししたり、東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)1倍割れの是正を求めたりといったことは、あくまで付帯的な材料にすぎない。米利上げによって世界的に景気後退が意識される中、先進国でひとり金融緩和策を続ける日本経済の相対的な強さが注目されているのです」

 とはいえ、ここまでの株価上昇はあまりにも急だ。4月まで2万8千円台前後の取引が続いてきた日経平均は、5月に入ると上昇のピッチを上げ、6月6日までバブル後最高値を繰り返し更新した。そのため平川さんは、日経平均が3万4千円前後をつけた後はいったん調整する場面も出てくるとみている。

 ただ平川さんのメインシナリオはあくまで強気だ。この調整後には株価は再び上昇に転じ、日経平均は2024年3月までに3万6千円をめざす展開を予想する。

 マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも「まだ一部の銘柄しか物色されていない」と指摘する。

「国内の緩和策は続いているし、国内市場の予想株価収益率(PER)も米国などに比べてまだ割安。今後、米国の金融引き締めの長期化やそれに伴う景気後退といったリスク要因はありますが、日経平均は年末までに3万6千円をめざすでしょう」

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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業績改善が株価に織り込まれていない