ラーメン店主の客に対する「物言い」は後を絶たない。画像はイメージ(写真:アフロ)
ラーメン店主の客に対する「物言い」は後を絶たない。画像はイメージ(写真:アフロ)

 埼玉県にあるラーメン店の店主が、「不味い」などとSNSで厳しいコメントを投稿した客に対し、「クソ素人」などと応戦し大炎上した。近年、ラーメン店側がSNSで“モノ申す”ケースは多々あるが、迷惑駐車や確信犯的な「大量残し」などの行為を批判するなど、一定の支持がある投稿もあれば、埼玉の店のように店主が激しくたたかれてしまうこともある。なぜ、SNSをめぐるこうした現象が後を絶たないのか。トラブルを防ぐために、店と客に何が求められているのか。

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 昔も今も、店独自のルールを設けているラーメン店は少なくない。そこに店主の“こだわり”がにじむのがラーメン店の特徴でもある。ルールといっても、客目線で高圧的と感じられるものから、「おすすめ」や「お願い」に近い内容のものまでさまざまだが、たとえば、

「スープからすすって」

「スープは飲み干して」

 などの食べ方に関してのもの。

「食事中のおしゃべり禁止」

「食事中のながらスマホや読書は禁止」

 など、客の回転率を上げるためや、並んで待っている人が早く食べられるように配慮を促すものなどがある。

 また、熱狂的なファンがいる「ラーメン二郎」や、「二郎系」などと呼ばれる店では、野菜や生ニンニクなどのトッピングを増減できるところが多いが、増減を伝えるときのコール(言葉)の仕方にルールを設けている店がある。たとえば増量の際は「増し」「増し増し」とコールしたりする。

 だが、冒頭の埼玉の店は、生ニンニクのトッピングの増減を伝える際、「増し」と「なし」を混同しないように、ニンニクを入れないなら「なし」ではなく「抜き」と言うようにお願いする掲示をしていた。ちなみに、同じ理由で「なし」は控えるように店内に示してある店はほかにもある。

 埼玉の店では、客が「なし」と言ってしまったことがトラブルの発端になったようだ。その客が「もう二度と行かない」などとツイートすると、店主が「クソ素人」という言葉を交えて応戦し、店側が炎上した。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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