討論会に参加した5人。右から経営者の青野慶久さん、研究者の田中俊之さん、政治家の保坂展人さん、NPO代表の安藤哲也さん、専業主夫の宮内崇敏さん(撮影/今村拓馬)
討論会に参加した5人。右から経営者の青野慶久さん、研究者の田中俊之さん、政治家の保坂展人さん、NPO代表の安藤哲也さん、専業主夫の宮内崇敏さん(撮影/今村拓馬)

「イクメン」という言葉が広まって久しいが、これは世の男性にどんな影響を与えたのだろうか。経営者の青野慶久さん、研究者の田中俊之さん、NPO代表の安藤哲也さん、専業主夫の宮内崇敏さんらが、イクメンの今について語り合った。

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青野慶久(サイボウズ社長):私は4年前、長男の育児休業を2週間取得しました。東証1部上場企業の社長では珍しい、とメディアも取り上げた。でもね、しょせんは「なんちゃってイクメン」。もともとまぶたが落ちるまで働きたいタイプなので、家事や育児はできるだけやりたくない。洗濯物を干しながら「今日はいい天気で気持ちいいな」と思った日は一日もなく、常にイライラしながら干している。毎日がストレスです。

田中俊之(武蔵大学助教):2014年版の男女共同参画白書は、男性を特集しています。見てください、この表紙。スーツを脱いだ男性が、フライパンを持ったスーパーマンに変身して家族を守っているイラストです。バリバリ働いて家に帰ったら家事もバリバリやるってこれ、死にますよ。イクメンって、フルタイム労働に従事し、プラス家事育児もやる男性という定義になっていますよね。

安藤哲也(ファザーリング・ジャパン代表理事):トゥー・マッチ。帰宅して夜中1時に妻が流しに残した皿を洗いながら倒れて救急車で運ばれた男性を知っています。

青野:マジですか!私はまさにスーパーマンを目指していて、妻より自分のほうが子どもに好かれているという自負がある。睡眠時間を削って働きながら子育てすることに、変なエクスタシーを感じながらやっていますよ。

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