スマホでも読める電子書籍は、読む場所を選ばない
スマホでも読める電子書籍は、読む場所を選ばない

 電子書籍市場は急成長しそうだ。野村総合研究所が2013年に発表した情報通信技術の主要4市場についての動向分析によると、電子書籍市場は2018年に2814億円に達すると予想されている。現在の倍以上も拡大するのだ。

 確かに、Amazonでも「Kindle版」の商品が目立つほか、外出先で読書を楽しみたい時に、重い本を持ち歩かなくて済むなど、利便性が高い。一方、専用電子書籍リーダーであるKindleやkoboなどではなく、スマートフォンで電子書籍を読む層が約半数であるというデータもある(MMD研究所調べ)。これは汎用性の高さや利便性、スマートフォン画面の大型化といった要因が大きいと思われる。

 もっとも興味深いデータは、中年層の電子書籍利用率が高く、高年層にまでも浸透している点だ。

 ジャストシステムが2014年に行った「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2014年4月度)」によれば、「(電子書籍を)利用している」という回答が一番多かったのは35歳~39歳男性の30.0%。これに次ぐのが50歳~54歳男性(26.0%)で、女性では40歳~44歳が22.0%でトップだった。そして、男性では20~24歳(14.0%)よりも65~69歳(22.0%)、60~64歳(20.0%)の利用率が上回っている。女性でも、60~64歳の利用率が1割に達し、若者と比べてもたいして遜色ない。

 もちろん、その調査方法やサンプルの取り方などを吟味してデータの意味を考えることをせず、数値を鵜呑みすることは危険だ。しかし、少なくともこれまでの通念に疑問符を投げかけるには、よい材料だろう。

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