(※イメージ写真)
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 「ゆびとま」と聞いて、懐かしいと思う人は、おそらく40代だろう。このサービスが世に登場したのは1996年。いわゆる「WEB同窓会サイト」で、正式名称は「この指とまれ!」である。登録者は自分の卒業した学校を登録すると、同級生の存在を知ることができ、消息を確認することもできた。

 ネット普及以前、卒業後何年もすれば連絡を取る手段は卒業生名簿しかなく、その名簿の住所から引っ越していれば連絡が取れなくなるということが当たり前だった。卒業後10年もすれば、連絡が取れない同級生の方が圧倒的に多かったのだ。それを解消するサービスであり、最盛期には350万人もの登録者がいたという。

 今から考えれば、現在の「mixi」や「Facebook」といったSNSの“はしり”のような存在だったのかもしれない。リアル(過去の同級生、同窓生)をバーチャルで再発見し、つながっていく。「人と人をつなぐことこそがインターネットの一番大切な機能だ」というのは、Facebookの創設者、マーク・ザッカーバーグの言葉だが、“ゆびとま”はまさにその機能を体現している。

 だが、弱点はあった。なつかしい同級生を見付けた先が希薄だったのだ。SNSが「その先のコミュニケーション」を提示していたのに対して、「ゆびとま」は見つけることが主な目的となっていたために、SNSのようなコミュニケーションはなかなか続かなかったと言えるだろう。

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