手のひらサイズの画像センサー「Human Vision Components-Consumer model」(オムロン株式会社提供)
手のひらサイズの画像センサー「Human Vision Components-Consumer model」(オムロン株式会社提供)
装置の活用例(オムロン株式会社提供)
装置の活用例(オムロン株式会社提供)
装置の活用例(オムロン株式会社提供)
装置の活用例(オムロン株式会社提供)

 目の前に立つと、性別・年齢を自動で認識し、気温や時間帯も考慮しつつその人に合った商品を勧めてくれる自動販売機を知っているだろうか。これは、JR東日本ウォータービジネスが開発した“次世代自販機”で、自販機の上部にあるセンサーで、購入者の年代や性別を判定できるのだという。こうした事を可能にしているのが、オムロン(オムロンソーシアルソリューションズ)のセンサー技術だ。さらに、同社のセンサー技術を使って、顔の画像から、心理状態を読み取るハイテク機器が登場している。

 オムロン株式会社(本社・京都市)は、2014年12月、カメラに映った人の性別や年齢、表情などを認識し、BluetoothやWi-Fiといったワイヤレス通信機能でスマートフォンやタブレット端末とも連携する小型画像センサー「Human Vision Components-Consumer model」(HVC-C)シリーズを発売する。これまで法人向けに提供していた装置だが、新たな活用方法を探ろうと、通信機能を加えて個人向けに売り出すことにしたという。

 大きさは、幅7.9センチ、奥行き6.1センチ、高さ2.1センチの手のひらサイズ。あらゆる設備や機器への搭載が想定されているという。価格は未定。

「HVC-C」は、同社が開発した人の顔や動きを認識する画像センシング技術「OKAO Vision」とカメラモジュール、通信機能を一つにした装置。人が映っている画像を基に、顔認証や性別・年齢の推定、表情(満足、不満足、真顔、喜び、驚き、怒り、悲しみ)の推定、といった10種類の人の状態や動きを認識するのだという。

「OKAO Vision」は、これまでに家電製品やデジタルカメラ、ペットロボットなど幅広い分野で活用されてきた。2014年3月に発売した法人向けの「HVC」は、家電製品などへの組み込み機器として使われている。今回の「HVC-C」は、製品名の-C(Consumer model)が示すように、小規模な業務システム用機器や個人向けの機器として販売する。

「HVC-C」を活用する用途として、同社は、帰宅した子どもや離れて暮らす家族の表情から様子を確認する「家族の見守り」、住人の顔を認識して、部屋をそれぞれの好みの空調温度に設定したり、音楽をかけたりする「快適な環境づくり」、プレーヤーの動きを察知する「ゲームの入力装置」などを提案している。

 同社は今後、「HVC-C」を、同じテーマに興味を持つIT技術者らが集まり、一定時間内に競い合いながらソフトウエアを開発する「ハッカソン」や「アイデアソン」などのイベントに提供して、世界規模で「HVC-C」を利用したアプリの開発を進める方針だ。

 さまざまな可能性を秘めていそうな「HVC-C」。落ち込んでいる時には、自動的に好きな音楽がかかったり、帰宅した際に人の顔色をみてロボットが気を利かせた飲み物を出してくれたりと……そんな未来の生活が待っているのかもしれない。