読み取った名刺を画面表示できるキングジムの「メックル」(写真:キングジム提供)
読み取った名刺を画面表示できるキングジムの「メックル」(写真:キングジム提供)

 21世紀に入ってペーパーレス化が一段と進んだ日本のビジネス業界においても、人と人との間で交換される名刺は、いまだ紙が主流だ。紙を使わず、スマートフォンの画面上で名刺交換できるアプリはすでに登場しているものの、普及しているとはとうてい言いがたい。やはり、従来の慣習に合っておらず、初対面の人とスマートフォンで情報を交換するのは抵抗があるのだろう。しかも、相手と同じアプリでなければ交換できないなど、煩わしいこともしばしば。

 しかし、紙の名刺にしてもデメリットはある。まず、かさばってしまい保管場所・方法に悩まされることだ。更に、相手の電話番号やメールアドレスをパソコンや携帯電話・スマホに登録するには、一枚一枚を手で入力したり、カメラで読み取ったりする必要がある。手が空いた時間にとはいえ、それに費やす時間や労力が無駄に感じてしまうかもしれない。

 そこで、テープ作成機器のテプラなどで有名なキングジムは、名刺を短時間で簡単に整理できるアイデアあふれる商品を開発した。

 一つは、「ビズレージ」。これは、名刺を最大15枚まで一気に読み取れるスキャナー製品。スキャンすると同時に、名刺そのものを本体下に備えているボックスに収納できる(最大800枚)という一石二鳥の製品だ。

 読み取ったデータは、同社の専用ソフト『DA-1』で一括管理可能。このソフトは、名刺の文字情報をもとに会社名、氏名、登録日といったカテゴリーで検索できる機能を搭載しているほか、名刺のデザインも保存されるので、名刺の手書きメモなどもあとから確認できる。

 もう一つは「メックル」だ。これは、スキャン機能に特化した「ビズレージ」とは異なり、単体でもデータを保存・管理できる製品で、読み取った名刺は本体の液晶画面上に元のデザインのまま表示される。

 本体のダイヤルを回すことで保存したデータの表示が切り替わり、まるで重ねた名刺を一枚一枚めくっていくような感覚で検索できる。さらに、企業名や氏名、登録日順といったカテゴリーごとに表示させる機能も備えている。

「メックル」本体には、最大5,000件の名刺データを保存可能。『DA-1』にも対応しており、「ビズレージ」で読み取ったデータも読み込める。

 今後、さらにペーパーレス化が進んで行ったとしても、その場で出して即座に相手に自分の素性を分かってもらうには、やはり紙であったほうが扱いやすいだろう。いちいち携帯やスマホなんて操作していられない。そうであれば、紙の名刺と電子機器とをうまく連携させられるこうしたグッズを利用して、名刺を管理する手間から少しでも解放されたいものだ。