AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2022年2月14日号では、電機メーカーでエンジニアとして勤務する松村康一さん、バイオベンチャーでコミュニケーションデザイナーとして勤務する夫婦について取り上げました。

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妻が30歳、夫が35歳のときに結婚。精子提供で生まれた娘(7カ月)と3人暮らし。

【出会いは?】マッチングアプリを介して。初めて会った日、お互いに「この人しかいない」と強く感じる。
【結婚までの道のりは?】出会ってすぐ週3、4回会うようになり、一緒に住む物件を探し、約8カ月後に婚姻届を提出。
【家事や家計の分担は?】料理は夫、それ以外は妻。それぞれこだわりがある部分を担う。試行錯誤の末、家計は妻が一元管理。

夫 松村康一[42]電機メーカー エンジニア

まつむら・こういち◆1980年、福井県生まれ。金沢大学大学院で信号処理技術を研究。電機メーカーでカメラの開発に携わる

 初めて会ったときは「早口な人やな」と。でも話しているとノリが合う。ここまで価値観を共有できる女性に会ったことがなく「この人を逃してはならない」と思いました。

 結婚当初は「俺が頑張って養わなきゃ」と思っていたけれど、自分のなかで徐々に比重が変わり、家事、特に食事の部分を引き受けるように。2人でチームを運営することを考えた結果です。僕は今、彼女と一緒に育休を取っていますが、これには僕が無精子症とわかり、提供精子で子どもを授かると決めたことも関係しています。血縁のない子どもを愛し続けられるか、という不安があったから、あえて家庭にコミットする割合を増やしました。もしすんなり子どもができていたら、今ほど家庭にコミットしない人生だったかも。それはそれで怖いなと思いますね。

 普段は喧嘩でもしない限り、お互いがお互いを笑かし合っている感じです。作ったご飯を「美味しい」と言ってもらうとき、子どもの笑顔を見るとき、幸せを感じます。

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