キャンプの醍醐味は、不便さの中で非日常を味わえることだと言う。「何も考えていないけど、それだけで一日が終わります」(ヒロシさん)(写真:本人提供)http://hiroshi0214.com/
キャンプの醍醐味は、不便さの中で非日常を味わえることだと言う。「何も考えていないけど、それだけで一日が終わります」(ヒロシさん)(写真:本人提供)
http://hiroshi0214.com/

 芸人のヒロシがかれこれ10年近くハマっているのが、ソロキャンプ。大勢でわいわい楽しむイメージのあるキャンプだが、ひとりでキャンプをする魅力はどんなところにあるのか。

 1人で焚き火をし、1人で料理をし、1人で食事をする。そして夜は、1人でハンモックで寝る。

「できるだけこぢんまりと、周囲から気づかれないようにするのが僕のソロキャンプ。孤独が好きな僕にぴったりなんです」

 芸人のヒロシ(46)はそう話す。

「ソロキャンプ」とは文字通り、1人でするキャンプのこと。ここ数年愛好者が増えているが、ヒロシは10年近く前から続けている、この道のパイオニアだ。

小学生のころから大のキャンプ好き。自然の中で眠る心地よさに引かれた。大人になっても芸人仲間たちと複数でキャンプに行き、非日常を楽しんでいた。だが、やがて「面倒くさくなった」。まず全員の休みを調整しなければいけない。日程が決まると、次に集合時間と場所を決め、人数分の食材を調達。キャンプ場では、決まった時間に食事をしないといけない。ストレスを抜きに行くキャンプが逆にストレスになった。ある時、「1人で行けばいいんだ」と思い立ち、1人で出かけるとストレスはまったくなかった。以来、ソロキャンプが病みつきに。

著者プロフィールを見る
野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

野村昌二の記事一覧はこちら
次のページ