


進学実績や偏差値など何かと表面的な物差しで測られがちな高校。しかし、秋の文化祭にこそその真価が現れるという。ジャーナリストの鈴木隆祐氏がレポートする。
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冬の寒さが厳しく、夏休みの短い長野県では、文化祭は秋ではなく毎年6~7月に行われる。そのため、3年生もそこで大いに燃焼し切って、受験準備に勤しむことができる。上田高校の「松尾祭」でも、合唱コンクールやダンスコンテストなど、ほぼすべての部門の最優秀は3年生が独占した。
新企画という部門賞があるように、つねに文化祭にも刷新を求める気風の同校。その結果、男装女装やクラスTシャツもコンテストの対象となった。中でもクラス対抗の立体作品展示、アンデパンダン展はすでに“伝統行事”だ。地元のテレビでも報道されるくらい話題となる。また、「松尾菜 for ふくしま」と題して、生徒たちの招聘で福島の野菜販売も行っていた。
スーパーグローバルハイスクール(SGH)にも指定されている同校。ボランティア研究同好会とSGH班共同でフィリピンでのスタディツアーのプレゼン、マニラ近郊のパヤタスのフェアトレード商品の販売、被災地募金なども行っており、本来の進学校が持つべき問題意識をそこからも感じた。
愛知県の旭丘高校の「鯱光祭」では生徒から集めた1500枚もの写真で製作したモザイクアートを中庭に飾った。普通科の他に美術科もあり、生徒手製のアクセサリーも販売。これがどれも見事な品で、買い求める保護者らが売り場に群れをなしていた。そこからも赤瀬川原平や荒川修作、浅井慎平など数多くのアーティストが輩出した、同校の“らしさ”がのぞけるのだ。
アートといえば、音楽も忘れてはならない。プロテスタント系の学校のほとんどにハンドベル部があるが、東京都の明治学院東村山高校ではホームステイプログラムの一環として2年ごとに北米への演奏旅行も敢行。「ヘボン祭」では、その演奏を楽しみにする近隣住民も多い。一方でロックバンドのZIGGYのリーダー、森重樹一の母校だけあり、軽音楽部を中心とするチャペルコンサートにも活気が溢れている。