木更津高専 情報工学科/向かって右から、望月さん、小高さん、丸山さん、米村准教授。持っているのは、情報危機管理コンテスト優勝カップと賞状(撮影/岡田晃奈)
木更津高専 情報工学科/向かって右から、望月さん、小高さん、丸山さん、米村准教授。持っているのは、情報危機管理コンテスト優勝カップと賞状(撮影/岡田晃奈)
米子高専 物質工学科/向かって右が前田さん、左が山村さん。掲げているのはIntel ISEFで使用したパネル。「実験より英語のほうが大変だったかも(笑)」(前田さん)(撮影/柿崎明子)
米子高専 物質工学科/向かって右が前田さん、左が山村さん。掲げているのはIntel ISEFで使用したパネル。「実験より英語のほうが大変だったかも(笑)」(前田さん)(撮影/柿崎明子)

 オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。

 大学しか見ていないそこのキミ、「高専」を知ってるか。技術者育成を狙い、15歳から5年間、一貫教育を施す高等教育機関だ。時代が求める人材が次々輩出しているぞ。

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 今年5月にあった「第12回情報危機管理コンテスト」。エントリーした千葉県の木更津工業高等専門学校(高専)は1次、2次予選と勝ち進み、決勝戦の地、和歌山県田辺市へと乗り込んだ。ところがメンバーが目にした新聞記事には「(決勝戦進出は)東京大、早稲田大、関西大、岡山大など5チーム」とあり、木更津の名がない。うち一人の丸山泰史さん(情報工学科2年)はこう振り返る。

「あと1校なんだから、うちも書けよと。でも高専だから仕方ないかなとも思った」

「サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム実行委員会」が主催した同コンテストには、大学・大学院や高専から計26チームが参加。木更津高専からは小高拓海さん(5年)、望月雄太さん・齋藤遼河さん(3年)、丸山さんの4人のチーム、Yone-laboが出場した。

●在学中に企業から誘い

 競技内容はこうだ。まずチームが架空の企業から情報システム管理を委託されたという設定で、主催者側がさまざまなシステム障害を意図的に起こし、その解決能力を競うというもの。企業の担当者役がチームの代表者と電話やメールで連絡を取り、競技を進めるのだが、そこでYone-laboの技が光った。

 そもそもの連絡が来る前に自ら事故を把握して報告。顧客対応も優れており、総合的に審査員から高い評価を得て最優秀賞の経済産業大臣賞を獲得。試合後は一転、スマホで見たニュースには母校の名前が躍っていた。

 チームの4人は情報工学科・米村恵一准教授の研究室に出入りする有志だ。木更津高専は「高専情報セキュリティ人材育成事業」において関東近郊の拠点校に指定され、ハイレベルな教育環境にある。近年はサイバー犯罪が大きな社会問題になっているご時世。優勝した4人は注目を浴び、在学中ながら複数のIT企業などから共同研究の誘いもかかった。

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