M7クラスの本震の震源に近いとされる熊本県益城町の道路。アスファルトに亀裂が入り、至るところで割れ目や段差ができていた。今回の地震のエネルギーの大きさがわかる(撮影/編集部・直木詩帆)
M7クラスの本震の震源に近いとされる熊本県益城町の道路。アスファルトに亀裂が入り、至るところで割れ目や段差ができていた。今回の地震のエネルギーの大きさがわかる(撮影/編集部・直木詩帆)

 4月14日に発生した九州・本大地震は、さまざまな意味で「想定外」の地震だった。九州に住む人にとっては大地震の発生そのものが衝撃的だったが、一方で専門家からは「決して不思議はない」との声も上がっている。

「九州で自然災害といえば、大雨と台風。大きな地震は起こらないと思っていた」というのが、九州の人たちの「常識」だった。今回、熊本市内で話を聞いた被災者のなかには、マンションを買うときに保険会社から「熊本は地震が来ないから地震保険はかけなくても大丈夫ですよ」と言われたという人もいた。

 しかし、専門家らは「大きな地震が起きても不思議はない地域だった」と口をそろえる。

 日本全国には2千以上の活断層があるが、政府の地震調査研究推進本部は、地震の発生規模や確率から要注意の断層帯として100程度をピックアップ。連動して動く範囲を考慮した「活断層帯」として長期的に評価している。

 産業技術総合研究所(産総研)活断層評価研究グループ主任研究員の吾妻崇さんによれば、

「20年前の阪神・淡路大震災がきっかけです。あの時は、淡路島の断層と神戸市内の断層が両方一度に動きました」

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