アイシンはドアチェックを海外工場から緊急空輸したり、他社への生産委託の手はずを整えたりして対応する。しかし、トヨタは2月にもグループ企業の工場での爆発事故の影響で国内生産が止まり、9万台ほどの生産の遅れが生じたばかり。挽回のためフル稼働を続けてきたなかでのアクシデントだけに、業績への影響が懸念される。

 自動車関連以外でも幅広い業種の工場に被害が出ており、サプライチェーン(部品供給網)の断絶がどの産業分野にどれだけの影響を及ぼすかは不透明。東日本大震災、タイの大洪水、そして今回の地震と、被災地の工場の生産停止が、遠く離れた場所での生産活動に打撃を与える事例がこのところ相次ぐ。

 今回の地震の影響で主要メーカーの生産活動が滞れば、停滞が続く日本経済にとって追い打ちとなりかねない。野村証券の試算では、トヨタの生産が5万台減るだけで、4~6月期の鉱工業生産は0.3%ほど押し下げられる。同じ期間の実質国内総生産(GDP)は0.1%弱減少するという。トヨタ以外でも目立った影響が出てくれば減少幅は広がる可能性がある。(アエラ編集部)

AERA 2016年5月2日-9日合併号より抜粋