中小企業の間で「ある企て」が進んでいる(※イメージ)
中小企業の間で「ある企て」が進んでいる(※イメージ)

 いま、中小企業の間で「ある企て」が進んでいる。その名も「全日本製造業活性化計画」。全国の町工場が手を組んで、ロボットを作るのだという。ロボットはロボットでも、掃除や介護などの役に立つものではない。計画を主宰するミナロの緑川賢司社長(48)は言う。

「機動戦士ガンダムのようなロボットを作りたいんです」

 背景にあったのは自身の成功体験だ。

 ミナロの本業は、木型モデルの製作。全国の中小企業が自社技術を生かして直径2センチ以下のコマを作って競う「全日本製造業コマ大戦」は、緑川さんが2012年に始めたものだ。これまでにのべ3千チームが参加し、それぞれが横のつながりや、新規顧客との出会いを得た。

 それをコマではなくロボットでやろうというのが冒頭のプロジェクトだ。緑川さんは言う。

「『つながる』ことは、中小企業にイノベーションを起こす手法なのです」

 日本の中小企業は大企業の下請けとして成長してきた。部品を作り納品して、大企業がそれを完成品に仕上げて売る。だが大企業はかつて中小企業が担っていた役割を海外に求め、中小企業は市場との接点を失った。

 緑川さんはイタリアの「インパナトーレ」、いわゆるコーディネーターに注目した。イタリアは日本同様、全企業に占める中小企業の比率が高い。それでいて世界に通じるハイブランドが多いのは、インパナトーレたちが海外のニーズをヒアリングして伝えたからだと言われる。

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