「プライベートでの出来事である恋愛について、事務所がアイドルに損害賠償を請求するのはおかしい」(伊藤弁護士)

しかし実際、AKB48の峯岸みなみさんは、2013年に男性芸能人との交際を週刊誌で報道され、発覚直後に丸刈りとなって動画サイトで謝罪した。これほどまでして謝罪しなければ、アイドルとして受け入れてもらえないと考えたからかもしれない。

 最近プライベート問題が取りざたされたベッキーさんは、それが原因でCMや番組を降板した。問題の是非はともかく、プライベートでの行いが、仕事を大きく左右するのは明らかだ。

 このような現状を踏まえると、アイドルの恋愛に一定の制限がかかるのは仕方ないと言うのは、芸能関係の問題を専門に扱う河西邦剛弁護士だ。

「恋愛発覚はどうしてもマイナスイメージにつながり、ファンが離れる事実があります。アイドル自身も、事務所が身銭を切って先行投資をしているからこそ、活躍の場所があるという意識を持つことが必要でしょう」

 事実、芸能ビジネスの仕組みを理解し、「守るべきルールは守る」というプロ意識の強いタレントが成功していると、河西弁護士は指摘する。

「少なくとも付き合っていることが公になれば、ファンの人が傷つくだけでなく、信頼してくれている事務所関係者らに莫大な損害が出てしまう。その想像力を持つことは必要です」

AERA  2016年2月15日号より抜粋