そのリスクをとったのが、畑田さんだった。

「動員ではなく“集客”をしよう。面白い講演会を企画して内容の良さをアピールすれば、参加者は必ず集まるはず。もしそれでも人が集まらないようなら、講演会自体をやめたらいい、そう言いました」(畑田さん)

 まずは評判のいい講師の情報を集め、宣伝に注力。畑田さんが「ド派手なチラシ」を作成し配布、役員や委員が協力して保護者全体に口コミ情報を流した。

 前例にとらわれず努力をした結果、大成功。9月に開催した防犯に関する講演会は、動員なしで例年を上回る130人が参加した。成功の理由を役員の一人は、こう分析する。

「会長が『人が集まらなかったら集まらなかったで、いい』と言い切ってくれたこと。それがなかったら、みんな責任をとるのが嫌で変えられなかった。そして、動員をやめることで増えた仕事を会長自らが引き受けて、率先して動いてくれたことが大きかったと思います」

AERA  2015年12月28日―2016年1月4日合併号より抜粋