日常のさまざまなルールをめぐってバトルが勃発(撮影/写真部・東川哲也)
日常のさまざまなルールをめぐってバトルが勃発(撮影/写真部・東川哲也)

 夫婦生活にけんかはつきもの。スッキリ終われることもあれば、思いのほかこじれてしまうこともあるのでは。実は、夫婦げんかにはコツがあるんです。

 取材した夫婦の中には「面倒なのでバトルはしない」「あきらめてバトルにもならない」といった声もあった。これに対し育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささんはこう言う。

「夫婦がけんかをするのは、『自分を理解してほしい』という前向きな気持ちがあるから。夫婦が成長するうえでも不可欠です」

 上手なけんかの心得として、おおたさんが挙げるのは、(1)相手に勝とうとしない(2)仲直りまでがけんか(3)結論を無理にまとめようとしない。

「けんかの目的は相互理解。だからお互いの本音を出し合ったら、そこでおしまい。無理に結論をまとめようとしないことです。本音を知ったあとには、無意識の歩み寄りにより解決することも少なくありません」

 例えば、妻は子どもに炭酸のジュースを飲ませたくないのに、夫はたまに飲ませても、ほかのときに我慢できればいいのではと考える。どちらが正解と割り切れるものではない。しかしいったんお互いの本音を知った後は、ふとしたときに相手の考えが頭をよぎるようになる。例えば、夫が外出先で子どもの飲み物を買うときも、「炭酸でないものにしようか」とぼんやり考えたりする。こうして無意識の力が少しずつ調整して、解決するケースは少なくないのだ。

 夫婦げんかで成長するカップルがいる一方、修復できないほどにこじれることもある。数多くの夫婦カウンセリングを手がけてきた、@はあと・くりにっく代表の西澤寿樹さんは言う。

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