選択的夫婦別姓の実現や女性の再婚禁止期間規定の問題について話し合われたシンポジウム。最高裁の憲法判断に向け、運動は盛り上がりを見せている(写真/坂本洋子さん提供)
選択的夫婦別姓の実現や女性の再婚禁止期間規定の問題について話し合われたシンポジウム。最高裁の憲法判断に向け、運動は盛り上がりを見せている(写真/坂本洋子さん提供)

 合憲か違憲か。民法750条の「夫婦別姓を認めない」とする規定と、同733条の「女性の再婚禁止期間」の規定について、最高裁による初の憲法判断が、いよいよこの年末から来年早々にも出される見込みとなった。闘い続けてきた原告団の思いとは。

これら二つの規定は、特に女性の権利を著しく侵害してきた。

 最高裁大法廷での口頭弁論は11月4日。そこで意見を述べる予定なのが、今回の夫婦別姓訴訟の原告5人のうちの一人、小国香織だ。法律婚をした夫との間に娘が1人いる。仕事でもプライベートでも、戸籍名でない旧姓「小国」を使用している。

「『小国』って珍しい姓なんです。父も愛着があるらしくて、家には小国姓の歴史を書いた本もありました」

 小国は行政書士という職業柄、法律からはみ出た部分の不安定さを知っている。事実婚の場合、遺言書を書いてもトラブルが避けられない例もある。子どもを育てるには法律婚のほうがいいと思った。だが、小国の旧姓へのこだわりを夫も知っていたので、夫婦で相当悩んだ。

 一方の姓を選択することで、必ず一方は面倒な思いをしなければならない。愛する人につらさを強要することも苦しい。

 小国の問題意識は結婚する以前からあった。母が大学の同窓会名簿を見て、「女の人は名字が変わるから誰かわからなくなっちゃうねえ……」とつぶやくのを聞き、疑問を感じた。

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