ニーズがどのくらいあり、価格はどのくらいにすべきかを探るため、近所でテスト販売をしたいと考えた。東京・自由が丘界隈(かいわい)で1、2週間から1カ月間、できれば週末だけ借りられる場所を探したが、不動産業者が持つ物件の大半は契約期間が2年前後。商店街に1週間単位で借りられる店舗はあるが、賃料は週20万円超と高すぎた。

「二つのことに気づきました。短期の賃貸物件には潜在的なニーズがあるが供給はほとんどない。そして、長期の賃貸よりかなりもうかるということです」

 自分で物件を買って貸すビジネスはリスクを伴うが、仲介ならできる。自営業の夫にも近所の書店やレコード店に飛び込み営業をかけてもらい、10件ほどの物件を確保。08 年4月にサイトを開設して創業した。

 最初の半年は物件集めに苦労したが、9月のリーマン・ショックが転機になる。不況ムードが広がるなか、「物件の売却先や次の賃貸先が決まるまでの間も維持費はかかる。少しでもお金が稼げれば」という貸し手が次々に現れた。

 知名度が上がるにつれ、ドラッグストア大手や書店の全国団体とも提携して物件を増やした。今月からは日本自動車連盟(JAF)と提携。1800万人余りの会員が専用サイトを通じて自宅駐車場を空き時間に貸したり、優待料金で借りたりできるようになった。

AERA  2015年8月24日号より抜粋