小笠原諸島の西之島では活発な噴火が続く。溶岩トンネルを抜けた赤い溶岩流が海に達していた(3月4日、朝日新聞社機から) (c)朝日新聞社 @@写禁
小笠原諸島の西之島では活発な噴火が続く。溶岩トンネルを抜けた赤い溶岩流が海に達していた(3月4日、朝日新聞社機から) (c)朝日新聞社 @@写禁

 口永良部島が噴火し、箱根山や浅間山では火山活動が活発化している。火山は活動期に入ったと指摘されるが、本当にそうなのか。

 火山のニュースが相次いでいる。最も活発な桜島は、5月30日に今年の爆発的噴火が600回に達した。1955年の観測開始以来、最速のペースだ。小笠原諸島の西之島の噴火は引き続き活発だし、阿蘇山も断続的に噴火を続ける。5月29日に爆発的な噴火をした口永良部(くちのえらぶ)島は、噴火警戒レベルが最高のレベル5(避難)で据え置かれ、全島民が島外に避難している。

 しかし、火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(東京大学名誉教授)は、「まだ、火山活動は活発化していない」と話す。火山大国・日本にとって特別な状況ではなく、これがいわば「平熱」というのだ。

 目立った報道と火山の活動度の大きさは必ずしも比例しない。昨年噴火した長野・岐阜県境の御嶽山の噴火は、規模としては決して大きくはなかった。多くの登山者が犠牲となったのは、登山シーズンの晴れた土曜日の昼で、火口近くにいた人が多かったためだ。

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