ある日SNSに…(イメージ写真) @@写禁
ある日SNSに…(イメージ写真) @@写禁

 地下鉄サリン事件で社会に衝撃を与えたオウム真理教。改称した「アレフ」は今でも生き続け、姿を隠し勧誘活動も行っている。

 東京都足立区にオウム真理教から改称した「アレフ」の施設ができたのは5年前。出入りする信者は50人ともいわれる。区とはゴミ収集などをめぐって裁判で争うが、住民との目立ったトラブルはない。それでも、ベールに包まれた活動は周囲の不安をかきたてる。

「ここを離れたくて土地を売ろうとしても、値段がつきませんよ。ある意味、死んだ街です」

 抗議活動を続ける住民が嘆く。この地域にとって「オウム」は、今なおそこにある危機なのだ。地下鉄サリン事件を起こした1995年以降、1万人以上いた信者は10分の1に減った。それでも松本死刑囚への帰依を強めるアレフと、上祐史浩氏が率いる「ひかりの輪」に分派し、オウムは生き続けている。

 元アレフ信者の30代男性は、ある日、SNSに届いた「無料手相占い」の案内にひかれ、道場に行った。悪徳商法の被害から立ち直ろうとしていた頃。アレフと知らず「ヨガ入門コース」に通うと、心が落ち着いた。「先生」が松本死刑囚だと明かされたのは半年後。「とんでもないところに来てしまった」と驚いたが、すでに道場は大切な場所になっていたので、信者になった。それから半年後、松本死刑囚のいる東京拘置所への「聖地巡礼」や、教団の排他性などに疑問を抱き、脱会した。

「あのまま信者を続けていたら」

 今は自問する日々を送る。

AERA 2015年3月30日号より抜粋