商品を売り出すとき、まず消費者の心をつかむのは、何といってもネーミングだろう。そのネーミングを思い切って変えることでヒットした商品も少なくない。

 紳士用の抗菌防臭靴下の先駆けであるレナウンの「通勤快足」。もともとの名前は「フレッシュライフ」だった。売り上げが徐々に減少する中で、再起をかけ発売から6年後、社内で集めた100以上の案の中から、「通勤快足」に名前を変えた。すると、売り上げは1億円強から一気に13億円まで跳ね上がり、2年後には45億円を記録した。広報の佐藤裕子さんは言う。

「JRや京王線で当時、通勤快速が走り始めた時期でもあり、ターゲット層のビジネスマンにとって、商品をイメージしやすかったのだと思います」

 緑茶飲料のパイオニアで業界トップを走り続ける伊藤園の「お~いお茶」も、もともとの名前は「煎茶」だった。煎茶という名前は「まえちゃ」や「ぜんちゃ」と読み間違えられることもあり、浸透しなかったと、同社商品企画一部の安田哲也さんは振り返る。

「家族だんらんやコミュニケーションの場で飲むお茶のイメージを打ち出すため、商品名を変えました。売り場から呼び掛けているようで、親しみやすさを感じてもらえたのだと思います」

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