“パンチパーマ”で注目を浴びる広島の新人・矢野雅哉(写真提供・広島東洋カープ)
“パンチパーマ”で注目を浴びる広島の新人・矢野雅哉(写真提供・広島東洋カープ)
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 広島に矢野雅哉という“面白い新人”が入ってきた。その能力もさることながら、話題となったのが、令和の時代には似つかわしくない“パンチパーマ”だ。

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 見た目で注目を集めているが、野球の実力も評価が高い。そして、その存在が同年代の野手陣に大きな刺激となっている。

「チームが少しでも盛り上がったらいいなと思った。みんな笑ってくれて良かった」(矢野)

 亜細亜大からドラフト6位入団した元気印の行動が度肝を抜いた。春季キャンプ終了後、誰に言われたわけでもないが、自ら理髪店に駆け込みロッドを巻いた。

「会沢(翼)さんから言われた『目立ってなんぼ!』という言葉が印象に残っていた」(矢野)

 内野手の選手層が厚い広島に下位指名での入団、レギュラー奪取どころか生き残るための競争だけでも激しい。少しでも目立つことで顔と名前を売りたいのは十分に理解できるが、その手段として昭和野球選手の象徴と言えた『パンチパーマ』を選ぶのには、相当な勇気が必要だったはずだ。

「声出せ。元気、元気」が口癖、今年から広島復帰した河田雄祐ヘッドコーチ好みの選手である。16、17年にリーグ制覇を果たした広島での手腕を買われ、18年からはヤクルトに在籍していた河田コーチ。2年連続Bクラスの古巣再建に向け白刃の矢が立ち、ヘッドコーチとして復帰、キャンプから存在感を示している。

「プロなので誰もが良いものを持っている。矢野も野球センスや身体能力は素晴らしい。首脳陣が使いたいと思わせないといけない。元気を前面に押し出す、目立つ、という姿勢は良いね。練習もよくやるから、これからもっと伸びるよ」(河田ヘッド)

「一軍に居続けるためには代走、守備固めが求められる。自分の役割を全うしたい」(矢野)

 兵庫・育英高時代は甲子園出場こそないが、亜細亜大では1年春からリーグ戦に出場。2年春から遊撃手のレギュラーとなり、3年秋のリーグ戦では、打率.415で首位打者を獲得した。4年の春からはキャプテンも務め、持ち前の明るさでチームを鼓舞し続けた。遠投130m、50m走5秒9の俊足が持ち味で、特に守備力は高く評価されている。

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矢野の登場で小園の存在感が…