──同じころ、第1次安倍内閣が発足した。安倍元首相は「美しい国づくり内閣」と命名。ジェンダー平等や男女共同参画への反対、そして反LGBTを訴える強硬な右派議員が注目を集めるようになった。

「旧統一教会は自民党が政権与党であるから近づいた側面はもちろんありますが、政策面においても志を同じくしていた部分があります。ただ、ここで注意しなければならないのは、旧統一教会が自民党を操っていたという実態はありません。あくまで政策面で共鳴していたにすぎません。

 そんな中、誰がどうつなげたのかが、まだ全容はわかっていないのですが、安倍氏本人はもちろん、自民党と教団との関係は確実に濃くなっていきました。

 10年の参院選のとき、勝共連合が出した内部文書の中に、『安倍先生、山谷(えり子)先生なくして私たちのみ旨は成就できません』と安倍元首相の名前が出ていることがわかっています(同連合は否定)。自分たちの主張と対抗する候補者の有田芳生さんを落選させようとする文書でした。

 12年12月、第2次安倍政権が発足。自民党と教団との関係は質と量ともに明らかに強くなっていました。自民党議員が勝共連合の新会長就任式などに出席するケースも目立つようになりました。なかでも、安倍元首相の周辺に統一教会と濃い関係を持つ議員が増えました。政策に共鳴する宗教右派の一つという位置づけが、共存関係に進んだと感じました」

■おじさんを喜ばせる

──ただ、旧統一教会は小さな組織だ。信者数は公称56万人(15年、宗教情報リサーチセンター)。創価学会の会員世帯数827万と比べても、その小ささがよくわかる。政策に影響を与えるほどの存在ではなかったとみられている。

「旧統一教会の信者は、実際には10万人程度です。選挙権を持たない2世が約3万人とみられているので、組織票としてはわずか8万票ほどしかありません。地方議員選挙では数百票で当落が決まる局面があるので、有効な数字かもしれませんが、国政選挙に強い影響力があったとは考えにくい。

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