上皇さまの90歳の誕生日に、仙洞御所でのあいさつを終えて皇居に戻る愛子さま。まぶしいほどの笑顔が印象的=2023年12月23日、読者の阿部満幹さん提供

 日本赤十字社に入社した天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、入社の翌日、日赤を選んだ理由や結婚観などをつづった文章を公表した。天皇や皇族方が自身の意見を述べる機会は限られている。天皇家に仕えた元侍従は、そこには「ひと言ひと言に、想いと気配りを込める皇室の姿がある」と話す。

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「両親のようにお互いを思いやれる関係性は素敵だなと感じます」

 自身の結婚観について、愛子さまは文書でこう答えた。2年前の成年の会見でも結婚感についてたずねられ、「一緒にいてお互いが笑顔になれるような関係が理想的」と答えたときと変わらないとしながらも、陛下と雅子さまの日常が目に浮かぶような表現を「追加」した。
 

 この文書は、日赤を選んだ理由や、成年皇族として公務への抱負、結婚観、皇族が減少する皇室の将来など、4問の質問に答える形で愛子さまが考えをつづったものだ。

 象徴天皇制を研究する名古屋大の河西秀哉准教授は、愛子さまの文書を読み、目配りの届いた文面に感心した、と話す。

「たとえば公務について述べた部分では、『両陛下や上皇、上皇后両陛下を始め、他の皇室の皆様のなさりようをお手本とさせていただき――』と表現されており、全方位に気配りと配慮の届いた満点に近い文面です。両陛下や上皇ご夫妻、皇族方や国民といった、いろいろな立場の人が読んでどう感じるか、といった部分までよく考えて文書を練っています」
 

 もともとはもう少し早い時期に公表する予定の文書だった。しかし、愛子さまが忙しかったこともあり、入社のタイミングにずれこんだものだったらしい。
 

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文章には、想像以上に時間と神経を